イベント情報(2014/11/1) 
代表が4代目に引き継がれました!活動の幅を広げて積極的に活動していきたいと思います!
今後ともよろしくお願いします!!

2011年8月24日水曜日

「ジビエで獣害を考えよう」に参加しました

こんにちは。一年の三井です。

昨日8月23日、日本エコツーリズムセンターというNPOが主催するシンポジウム「ジビエで獣害を考えよう」に参加してまいりました。
このシンポジウムでは、獣害を逆手に取った地域活性化について学ぶことができました。

前半の講演では、まずライターの方から獣害やジビエの基礎知識のほか、いくつかのジビエ活用例が紹介されました。
デメリットばかりが目立つ野生動物の肉ですが、フレンチやイタリアンの世界では、肉のばらばらな個性に合わせた料理をするのが料理人の腕であり創作性だと考えられている、というのがすごいなと感じました。その一方で、日本のフレンチ・イタリアンのシェフは国産ジビエがなかなか手に入らないためわざわざ輸入品を使っているという現状もあるそうです。需要があって獣も獲れているのにうまく供給できない・・・。狩猟した後の運搬・処理・流通のシステムの重要性を感じました。

さらに、北海道で実際にエゾシカのジビエを活用した町おこしに取り組んでいらっしゃる方から詳しい説明がありました。
ジビエ利用を始めたころはやはり「シカがかわいそう」と言われなかなか理解されず、赤字もかなりのものだったようです。しかし、地域内外での地道な活動のおかげで、現在では一般の理解も進み、業績も改善してきているとのことでした。世間に理解してもらうためには根気が必要なんですね。
狩猟の方法は、シカを餌でおびき寄せたりして、運搬のしやすいところで撃つという形のようです。北海道ならではの方法ですね。ただこの方法には大きな欠点があるようです。シカの内臓はその場で取り出して埋めてしまうらしいのですが、その内臓を食べにヒグマが人里近くにどんどん来てしまうというのです。ヒグマのもたらす新たな害や、生態系への影響が心配になりました。

講演の最後は、日大の先生による鹿皮革利用のお話でした。
鹿皮革は他のメジャーな動物の動物の革と比べて、様々な面で優れていると知って驚きました。しかし、運ぶ時に引きずってしまうだけで駄目になってしまうなどの理由で、肉などよりさらに活用が難しいようです。実際、肉利用の進んでいる地域でも皮は活用されていないといいます。
処理も有害物質をかなり使うため、なかなか難しいそうです。クリーンな処理法の開発が進むといいですね。
一つかなり気になったのは、キョンの皮も利用できるということです。日本の外来キョンの皮は中国産のものより質がいい可能性があるとのことで、今後が楽しみになりました。特定外来生物なので扱いは難しいのでしょうが。


後半には、ワールドカフェ方式のディスカッションで意見交換が行われました。
今回の会場には、獣害やジビエにいろいろな立場からかかわっている皆さんがいらっしゃったので、それぞれの視点から多様な意見が出て非常に興味深かったです。主婦や料理人のお話なんて大学ではまず聞けませんからね。
ここでは、運搬やPRが非常に大きな課題であることが改めてよくわかりました。なでしこジャパンにシカ肉を食べてもらおう!なんて意見も出ていました。


そして最後はお楽しみのジビエ料理!
各地域で商品になっているものに加えて、ビーパルで連載もしていた野生食材料理家がその場で作った料理も頂くことができました。
シカやイノシシの肉自体は何度か食べたことがあったのですが、本格的な料理はこれが初めてで、もうびっくりするほど美味しかったです。知名度が上がれば売れるだろうな、と思いました。


全体としてひとつ気になったのは、今回のシンポジウムは獣害対策と獣の活用にスポットが当てられていて、保護管理という視点はあまり入っていなかった点です。今から乱獲を防ぐ仕組みづくりが必要なのではないか、という意見を出したのは、わかる限りでは私だけでした。現状では獲り過ぎの恐れはあまりありませんが、今後有効活用がうまく軌道に乗っていったとしたら、その先に何が起こるのか・・・。
そのあたりは、狩猟をよく思っていない人々などともよく話し合ってうまいシステムを作っていく必要がありそうだと思いました。

2011年8月15日月曜日

「シカと狩猟を考えるシンポジウム」に行ってまいりました。

こんにちは。1年酒居です。報告が遅くなってごめんなさい。
去る7月30日、長野県主催の「シカと狩猟を考えるシンポジウム」に行ってまいりました。自分が将来狩猟許を取るにあたって、親にも狩猟についての基本的な知識を持っていてもらったほうがいいかなと思い、ジビエ試食会をダシに、両親も連れて行きました。

会場に着いたら時間があったので、猟友会の方主催の狩猟シュミレーションをやらせてもらいました。これは、スクリーンのイノシシやクマを、シュミレーション用の散弾銃で撃つというもので、臨場感たっぷり。クマとか手負いにしてしまうと、こっちにずんずん向かってくるので、非常に怖いです。ゲームオーバーになると、猟友会のおじさんに「はあーい、かじられましたねー」とコメントされます。
私はイノシシでやらせてもらいました。実際に銃を持ってみると、すごく重かったです。腕がふるふるしました。なので全然当たりません。なんとかイノシシ一頭仕留めることができましたが、これで反動が付いたら、自分は玉と反対方向に飛んで行ってしまいそうです。軟弱だなー自分。体鍛えなくちゃなー。

12時からジビエ試食会となりまして、竜田揚げ、燻製、ローストを食べさせていただきました。ロースト、まじおいしかったです。この場を借りて、鹿食免振興会の方々にご馳走様を言わせていただきます。
講演の内容としては、最初に梶先生の「狩猟が果たす野生動物管理への役割」次に長野県の野生鳥獣対策室の「第3期ニホンジカ保護管理計画の概要と捕獲促進のための方策について」最後に、鹿食免振興会 中沢源雄氏「鹿食免によるシカ肉活用の取り組みについて」でした。
狩り部的には前2つは目新しい内容ではありませんでしたが、家人いわく、「狩猟なんてただの娯楽で、獲っちゃいけないような気がしてたけど、獲ったほうがいいなんて、卵立てられちゃった気分だよ」とのことでした。卵はコロンブスの卵ですね。
「鹿食免によるシカ肉活用の取り組みについて」は、山師張りっぷりが楽しい講演でした。
鹿食免(かじきめん)とは、諏訪大社発行の狩猟の免罪符のことで、袋の裏側の説明によれば、

前世の因縁で宿業の尽きた生物は
放ってやっても長くは生きられない定めにある
したがって人間の身に入って死んでこそ
人と同化して成仏することができる

殺生は罪悪として狩猟を忌み嫌う時代にも
お諏訪様から神符を授かったものは
生きるために鹿肉を食べることが許されました。
こうした信仰により諏訪の人々は
長く厳しい冬を乗り越えてきたのです。
この「鹿食免」「鹿食箸」は
諏訪大社とともに時代を生きた先人たちに想いをはせ
皆様が今の豊な時代に感謝し
安全な食生活を送れることを記念し奉製してあります。


とのこと。(鹿食免・鹿食箸セットで1000円也。頂いて帰りましたとも。)
その鹿食免にちなんだシカ肉流通で地域活性化を図ろう、という趣旨の講演でした。獣医学科の自分は、経済的な面から狩猟を考えたことがなかったので、非常に興味深かったです。
鹿食免ブランドのシカの味噌煮と大和煮の缶詰も買って帰りました。ご飯のおかずに最適。おいしいです。

知識があればあるほど分からなくなってしまいますが、狩猟に関して何も知らない人がいるということ、そういう人たちにこそ、知ってもらわねばならないということを考えさせられる一日でした。