イベント情報(2014/11/1) 
代表が4代目に引き継がれました!活動の幅を広げて積極的に活動していきたいと思います!
今後ともよろしくお願いします!!

2012年2月12日日曜日

しばらく巻狩りをして思うこと

setoです。ここ半年間、上野原の巻狩りグループに属しているおかげで、かつてなく頻繁に狩猟ができています。
といっても、二週間に一回とか、そんなペースですが。
タツに立って無線に耳を傾け、じーーーいっと待ちます。
森の中って、静かなようで、それなりに音が色々するんですよね。
葉っぱや枝がカラカラ、パキパキ落ちるのとか、小鳥が落ち葉の上でカサカサと餌を探す音とか。
耳は便利ですね。キョロキョロしなくても周りの状況(異変)が分かります。
しかしこの間は、無線機のイヤホンをインナー式にしたために、イノシシの足音に気づくのが遅れました。
ヤツは僕のほうに向かってトラバースしてきたのですが、僕は斜面の下のほうばかり見てたのですね。
僕の20メートルくらい手前で「ヤベェ」と思ったのか、方向を45度ほど変えて斜面を登り始めました。
(イノシシの通ってきたコースは雪上の足跡を見れば、後からでも分かります。)
それで、彼が僕の斜め後ろ30mくらいの位置に来たとき、なんでか、僕もフッと気づきました。
白い斜面を、木の根っこのような焦げ茶色の4つ足動物が、ソロリソロリと横切っていきます。
まだ子供です。
銃を構えると、テケテケとスピードを上げ、木立ちの間に入って逃げてゆきます。
バンッと一発矢をかけましたが、ヤツは尾根の反対側へと消えていきました。
それっきり行方知れずです。

こんな体験もあります。
人工林のなか、緩やかな斜面を上方に向かって僕はイノシシを待っていました。
積雪は20㎝くらいでしたが、ゴムの長靴を通して冷たさがキンキンと伝わってきます。
ツルだかサギだかが、水面で片足立ちになる気持ちが分かりました。
彼らは優雅そのものですが、僕ときたら10秒おきに足を交代してはフラフラ、ブルブルと体を震わせながら、まったくミジメそのものの状態でした。
「この寒さから逃れられるなら、一万円払ってでも保温長靴が欲しい。もう勘弁してほしい」と思ってから一時間くらいが経ちました。
さっきから無線機の音が聞こえません。何かの拍子に設定がズレたのですね。
しかし、そんなことに思い至る余裕がまるでありませんでした。
僕は4年前に買った雪山用のゴア手袋を取り出して、かじかみながら着用しました。
ピッケルを持てるように、人差し指と親指が独立した形状をしているため、鉄砲を使うのにも支障がないのです。
実際にその手袋をつけて構える練習をしたことはなかったのですが、まぁなんとかなりそうです。
突如、左上方から、イノシシの子供がナナメに下りてきました。
カサカサカサカサっと歩いては、ハタと止まって周りの気配を探っています。
その動作を規則的に繰り返し、少しずつ僕の真正面のほうへと横切ってくるのを、照準器の先で狙います。
今回は、僕のほうが先に気づいたのですが、なんだか見ていてハラハラします。
なぜ向こうは、上半身をオレンジで固めて自分に銃口を向けている人間に気づかないのでしょう?
イノシシは色が分からないとか本で読んだことがありますが、人間ほど目が良くないのは確かなようです。
(逆に、先日マンマと僕から逃げおおせたイノシシは、人間の耳の悪さにヒヤヒヤしたのでしょうね)

さて、僕はこの時、殺気というか、殺意が全開でした。
これまでの寒い寒い時間と、ついでに空腹が、どす黒い憎しみとなってイノシシに向けられます。
(イノシシにとってはマッタク理不尽な話です。)
普段なら、もっとこう、力の抜けた精神状態で撃つのですが、今回は「絶対当ててやる」、という気迫を込めて、木の間を通るイノシシに狙いを定めます。
バァン!と一発目。イノシシの体がかすかにビクッとしたように見えます。
あわてたイノシシは、どこから攻撃されているのか分からないらしく、加速しながら僕の正面斜面のほうに横切っていきます。
イノシシから鼻先方向を狙って、ドバァンと二発目。当たったという手ごたえがありますが、なおも速度は緩みません。
遠ざかりつつあるイノシシの右後ろから、ドッと3発目。
イノシシはバランスを崩したように右方向に転がり、10m程度下で引っくり返ってもがいています。
こんな場合でも何事もなかったように起き上がって逃げることも有り得ます。
いや、そんな事は滅多にないのかも知れませんが、とにかくその時の僕は殺気の虜でした。
急いで近づいて行って脳天にトドメの一発を撃ちこんでやろうと必死。
気持ちの中では猛ダッシュなのですが、実際は小走り程度の速さですね(笑)。
かじかんだ右手に厚手の手袋をしているせいで、次の弾を取り出そうにもうまく行きません。
口を使ってやっとのこと手袋を引っ剥がし、ポケットから弾を取り出して装填、脳天に狙いを定めます。
その手際の悪さは大したものだったので、イノシシは途中で息絶えるのではないかと思っていたのですが、存外にまだバタバタしています。
イノシシの脳みそってどのあたりにあるのだろうと思いましたが、頭骨の標本を思いだし、目との位置関係から、「ここだろ」というポイントにズゴンと撃ち込みました。
(注:使っている弾は4発とも同じなので、物理的には同じ音がしているはずです。書いているのは気分的なフィルターのかかった音です)
イノシシはほどなくして動かなくなりました。

中古5万円で買った自動銃レミントン1100は、回転不良を起こすことなく、殺しの道具という仕事を全うしてくれました。
後でイノシシの通った道を確認すると、一発目のあたりから僅かに血が滴っていました。
また、イノシシを解体すると、少なくとも2回は上半身に当たっていることが確認されました。
はっきり言って、その撃たれ強さには驚愕です。
まだ子供なのに、有効射程内で上半身を撃たれても、速度を緩めずに走り続けたのですから。

そんな体験をして、散弾銃というものの恐さと、限界が、リアリティを持って感じられるようになりました。
つい先ほどまで元気に駆けていた生き物を、まったく力を使わずに屍にできてしまう装置。
しかしその狙い澄ました一発をまともに喰らっても、20キロくらいしかないイノシシが即倒しなかったという事実。
殺気や憎しみといった世間一般的に大変よろしくないとされる感情が、結果をもたらしてしまったことに対する戸惑い。

今後も狩り部のブログには、狩猟の体験記や、その時の心情を載せていこうと思います。
こういうのって、本や雑誌のような完全オフィシャルな発行物には書きにくいですからね。
あと、僕の獲ったイノシシはグループの皆でバーベキューにして、美味しくいただきました。
ではでは。

2012年2月10日金曜日

部会報告

遅くなってしまいましたが、前回の部会報告です。
といっても3人しか集まらなかったので、あまりやることもなく・・・

とりあえずその場で上がった今後のイベントのお知らせをしておきます。

2/11(土) エコセンシンポジウムin都留 若手猟師の活躍で獣害の現場はどう変わる?
2/12(日) 上野原狩猟見学
2/18(土) 野生食ゼミ(詳しくは2/5のメーリス参照)
2/24(金) 群馬ジャイアント射撃場javascript:void(0)
3/2,3(金、土)林野庁 シカ対策技術開発報告会
3/18(日) 上野原猟期終了ビンゴ大会
3/23(金) 群馬ジャイアント射撃場
3/28-31  西興部エゾシカ猟ツアー(募集終了)

それぞれの募集は随時メーリスで行なう予定。

次回の部会は3/8(木)12:10~、5号館12です。

2012年2月6日月曜日

イノシシ巻狩り体験記

狩部のみなさん、初めまして。幽霊部員をずっとしていたOBの梅です。
この度は、seto氏にお誘いいただきイノシシの巻狩猟を見学させていただきました。

朝5時に集合し、ハンターさんの車で山梨まで行きました。
現地の集合場所には、ハンターさんがぞろぞろと集まってきており、
なんだか緊張。そして出発へ!

まずは、車で移動し、「見切り」という作業をしました。
簡単に説明すると、山の周りを移動しながら獲物の足跡を探します。
足跡からは動物の種類、新旧、移動の向き、獲物の大きさなどの情報が得られ、
複数の足跡から獲物がどこで寝ているかまで大体の見当がつくそうです(驚き)


イノシシの足跡。













そして、大体の見当がつくと、どこから山に入るのかが決まり、
銃を持ったハンターさんがそれぞれの持ち場につきます。

自分は後輩のM君と一緒にリーダーについていくことになりました。
猟犬を連れて尾根を登っていくと、見晴らしの良い稜線につきました。
すると、「ここで待機しているように」と言われました。
しかし、全てが初体験なので自分の役割が何なのか分かりません(汗)
何をしたらよいか尋ねると、
「イノシシが来たら棒切れでひっぱたいて、
ハンターのいる方向へ追いやってくれ!」と言われました( ̄ー ̄;
クマスプレー持ってくるべきだったと、少し後悔(笑)

そして、リーダーと後輩のM君は山の中へ消えていきました。

しばらくすると、猟犬がウォンウォン吠え始めました。
猟犬は匂いのレールに乗ってイノシシが潜んでいる「寝屋」に向かうそうです。
この時点で、無線を通してハンターさん同士の濃い会話が繰り広げられます。
ハンターさんには番号が振られていて、お互いを番号で呼び合います。

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「上のあたりから巻いてるな」
「おう・・分かってる(小声)
こりゃあ・・3頭はいるなぁ。」




「出たか?出たんべ??」
「おきた おきた(小声)」
「くるぞ!くるぞ!!」
「〇番くるぞ!」
「・・・。あいよ(小声)」

バンッ!バンッ!バンッ!!

冷たく乾いた空に銃声が鳴り響きました。

さらに、

「大きいぞ!
☆〇■×▽△〇! 気をつけろ!!」
「なんだか分からねえが、上でゴソゴソいってる(ささやくように)」

バン!バン!!


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そんなこんなで、イノシシは僕の前に現れることなく狩りは終了。
獲ったイノシシを山から引きずり下し、イノシシは鮮やかに解体されました。
凍えるほどの寒さの中、解体をお手伝いしましたが、
さっきまでは、生きていた命はまだ温かく、なんだかえらく感動してしまいました。


そして、夜は宴へ!
ビールと一緒に食べるシシ汁とモツ炒めは物凄く美味しかったです。
そして、ありがたいことにただの見学者だった僕も頭数に入れて頂き、
お肉も持ち帰ることができました。おいしく頂こうと思います。



















「いただきます」とは、料理を作ってくれた人に対しての言葉だけではなく、
「命をありがたくいただきます」という感謝の言葉なのでしょう。


















さて、狩猟の意義とは何なのでしょうか。
狩猟は前時代的で野蛮なことなのでしょうか。

一般の人が持つ狩猟者のイメージと実際は、
かなり乖離していると僕は思います。
なぜなら、僕自身も大学でwildlife managementに出会う前は、
狩猟に対して負のイメージを持っていたからです。

現代人は、自ら生き物を殺生することはほとんどなくなりました。
スーパーで切り身になっているお肉やお魚を見ても、
そこに生と死があったことなど、なかなかイメージすることができません。
また、人を含めたすべての生き物は
大きな自然の恵みを利用して生活をしています。
そのことをいまの現代社会で認知するというのは、
とてつもなく難しいことなんだと僕は思います。
命の大切さや自然のありがたみを本当の意味で学ぶことができる
一つのツールが狩猟なのではないかと、僕は考えています。
ハンターさんが、“獲物は山の恵みだ”と言っていたのが印象的でした。

世はエコブームの真っ只中ですが、
本当の意味で自然と人を結びつける行為が
狩猟なのでしょう。

「人はその土地に生きる他者の命を奪い、その血を自分の中に取り入れることで、より深く大地と連なることができる。そして、その行為をやめたとき、人の心はその自然から本質的に離れてゆくのかもしれない。 ― 星野道夫」